鬼は外!「討鬼伝2」レビュー。「ハンティングアクション→オープンワールドアクションRPG」への進化は道半ば。
どうも。きょうは節分。鬼は外!
ということで予告通り、「討鬼伝2」のレビューをします。
それにしても、サードパーティーのタイトルは下の画面を起動時に表示するのは当たり前なのかなあ…
3DSの「ブレイブリーデフォルト」でもこの画面があった…
拠点から異界まで、すべてが一つの舞台(オープンワールド)に。
本作では、拠点(マホロバの里)から、各種異界*1まで、すべてが一つの舞台として、シームレスにつながっている。
いわゆる「オープンワールド」。
オープンワールド化で変わったもの
- 依頼の受注が直接、対象の人物と会話することで成立する。
ちなみに前作は単にリストアップされるだけだった。 - 目的地まで自力で到達する必要がある。
前作は直接敵のいるところに送り込まれる形だったが、少なくとも本編ストーリーに関しては自分の足で稼いで目的地に向かわねばならない。*2 - 新たに「フィールド探索」の楽しみが出来た。
本作のフィールドには、金色に輝く「しるべ」と、舞台世界の「裏事情」をつぶさに綴る「碑文」が各地に散らばっている。
-
フィールド探索で力尽きたら「デスペナルティ*3」ではなく、「ゲームオーバー*4」として処理される。
他のハンティングアクション感覚でプレイするとこの仕様で結構痛い目に遭うので、手ごわい局面に挑戦する際は事前に手動セーブしておこう。
このように、「ハンティングアクション=モンスターハンターライク」というよりも、「オープンワールドのアクションRPG」といった趣の作品に変貌している。
実際、「ミタマ」のスキル習得のための熟練度稼ぎはRPG作品の経験値稼ぎとほとんど同じだ。
(普通に鬼を倒すだけでも溜まるが、熟練度ゲージの下に書かれている行動をとっていくことでより早く溜まるようになっている。)
大型鬼への攻撃方法に「完全破壊」が追加
そして、メインコンテンツといえる鬼*5の討伐。
その中で、大型鬼への攻撃方法に「完全破壊」が追加された。
大型鬼には他のハンティングアクション同様、「部位破壊」の要素があり、これらを破壊しつつ討伐するのであるが、前作では破壊したところで手負い状態になるなど「動きに変化がほとんどない」ことが問題だった。*6
本作では、共闘ゲージが溜まった状態で「鬼ノ手」を使うと、鬼の部位の一部を「引きちぎる」ことができるようになっている。これが「完全破壊」である。
完全破壊された部位は「欠損状態」となり、見ていて鬼が気の毒だと思えるくらいには動き等が弱体化する。
(最初はでかくて手ごわい鬼だが、完全破壊により、止めを刺す段階になると鬼はぼろぼろになっている…)
ただし、一部の鬼の場合、最初とは全然違う「形態」に変化し、逆に手ごわくなることもあるのでその辺はご注意を。*7
また、共闘ゲージが溜まってない状態では、鬼をつかむことでどこにいても鬼を攻撃することができる。
どの武器を用いていても、空中に浮かんでいる鬼や、高い位置にある鬼の部位を攻撃できるようになった。*8
いまいちだなあと思った点
「オープンワールド」を謳う割には狭いかなあ…
本作は「オープンワールド」を謳っているが、「スカイリム(Skyrim)」のようなものを連想していた私にとっては「狭いかなあ」と感じた。
「スカイリム」というよりも、「ゼルダの伝説時のオカリナ」と、「メトロイドプライム」を足して2で割ったような感じ。
実際、本作の異界はなんだか「ゼルダの伝説」の「各種迷宮」のような印象を受けた。*9
あるいは「メトロイド」の「ブリンスタ」「ノルフェア」などの区域。
依頼がなくなったらそれっきり
メインクエスト「使命」のほかに、里の人々や異界に散らばった人、「ミタマ」が宿った品物から「依頼」を請け負う要素があるのは先述したが、その依頼がなくなったらもうそれっきり。*10
せめて一定期間ごとに発生する突発の依頼があってもよかったのではないだろうか。
実際、前作では「緊急任務」という突発要素があったし。
「オープンワールドアクションRPG」と「ハンティングアクション」要素がちぐはぐ。特にローディングにおいて
本作のソロプレイモードはアクションRPG寄りであることは先述した。
しかし、マルチプレイモード(集団任務)、またはモノノフ本部で任務を受注するときは前作のように、すぐに鬼のいる拠点に送られる形になっている。
そうすると、幕間のローディングが頻繁に入るようになる。
本作のローディングは、「オープンワールド」導入によってマップの読込量がすさまじいのだろう、かなり長い。
任務開始時、任務終了時も、いちいち広大なマップを読み込む必要があるため、ローディングもまた長くなる。
ここらへんで、「オープンワールドアクションRPG」と「ハンティングアクション」のちぐはぐさが見えるのである。
せめてソロプレイモードの任務では、自力で目的地まで駆け付けるような形にしてほしかった。
余談だが、読込といえば、里の人たちの読込も甘い時があり、消えていることがある。
その時は少し画面をスクロールして視界から外すと戻っていることが多い。
その他もろもろ
中川翔子、八面六臂の大活躍
仲間キャラクターの一人「グウェン」を、「しょこたん」こと「中川翔子」氏が演じている。
また中川氏はエンディングテーマも歌っている。
そういえば「ドラゴンクエストヒーローズ*11」でも、中川氏は「アリーナ姫」を演じていたなあ。
ミタマに西洋人が登場。ここまで来ると時空覇王伝かとぼやきたくなる…
先述の「グウェン」はイギリス人という設定である。
宿しているミタマも西洋人「ベオウルフ」である。
他にも「アーサー王」「ジャンヌ・ダルク」など西洋歴史偉人のミタマが多数登場する。
まるで銭ゲバぼったくりPtWゲーム「時空覇王伝」である…
実際、時空覇王伝に寄稿されている絵師もいるし。
ちょっとしたTIPS
平安時代を模した異界領域「雅の領域」は、道が入り組んでおり大変迷いやすい。
また、マップ上では道がつながっているように見えても、中型の門が行く手を阻んでいたりする。
そのとき、これらの門の裏手に回って、閂(かんぬき)のある方から×ボタンを押してこじ開けると、以後常時行き来できるようになり、移動がかなり楽になる。
最後に
いろいろ綴ってきたが、いちアクションRPGとしては十分及第点。
「モンスターハンターライクからの脱却」として「オープンワールド」を導入したことも十分評価できる。
ただ、初の試みということもあり、ゲームシステムとの少なからぬ齟齬が発生していることも事実。
「ハンティングアクション→オープンワールドアクションRPG」への進化は道半ば、と言っていいだろう。
私としては、「討鬼伝」シリーズとして続けるのもいいが、今回のゲームシステムを他の作品にも「輸出」してほしいなと思っている。
私が希望するのは「聖剣伝説」と「パンドラの塔」。
「討鬼伝2」のシステムをこれら2作品に導入してもらって新作を作ってもらうのよ。
なお、本作はPS4でも発売されている。こちらだと大画面・HD画質で楽しめるので持っている方はこちらをお勧めしたい。
それではまた。
*1:安、武、戦、雅、乱、古の6つの「領域」に分かれる。
*2:跳界石という、ワープポイントが本作にはある。
*3:RPG作品において、全滅などプレイヤー陣営が敗北した場合、なんらかの罰則付きでゲームが続行されること。「ドラゴンクエスト」シリーズにおける、「所持金が半分没収されたうえで最後にセーブしたポイントに移送される」ことが有名。
*4:その名の通り、ゲームが強制終了してタイトル画面や、セーブファイル選択画面に戻されること。直近でセーブしてからゲームオーバーになるまでにやってきたことは水泡に帰してしまう。
*5:本作ではダブルクォーテーション付きの「"鬼"」が正式名称だが、いちいち面倒くさいので単純に「鬼」と表記する。
*6:破壊された部位から鬼の生命力が表面化する、ということで常時鬼の本体(生命力)にダメージを与えられる程度だった。
*7:たとえばセンザンオウ。足をもがれると逆さになり、長い腕をぶん回してくる。
*8:鬼との戦闘以外でも、一部地形をつかんで移動するのにも鬼ノ手は使われる。先述のしるべや碑文探しでは必須。
*9:そういえば同じコーエーテクモ・オメガフォース開発で「ゼルダ無双」なんてありましたなあ…
*10:実際、「戦闘終了時」「里・異界拠点帰還時」「使命・依頼進行時」に自動セーブされるが、「使命・依頼進行時」の自動セーブファイルが最後の依頼終了後、永遠に更新されなくなる。